1.

論文

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大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  29  pp.135-142,  2009-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />Thomas Hardy の最後に出版された小説 The Well-Beloved は、England の辺境The\nIs le of Slingers を舞台に、彫刻家Jocelyn Pierston が島の娘Avice Caro,その娘、孫娘と三代\nに渡って同名の女性を愛するという,Hardy の後期の小説としてはかなり異質の作品である。\n物語の非現実性と外界から隔絶したような島の特異性から,この作品は一種のファンタジーと\nして,捉えることのできない理想の女性を追い求める男性の物語,プラトニックなイデアの追\n求をテーマとする作品として読まれることが多い。しかし,一見ファンタジーのような体裁を\n取りながら,The Well-Beloved にはHardy の後期の小説に通底する社会史的な側面があり,\nそれは時代の潮流と伝統的な島,つまり新旧の対立という問題である。鉄道と教育に象徴され\nる近代化によって,古来ほとんど変化のなかった島も変化を余儀なくされる。Avice Caro の\n死は古き島の消滅を表すメタファーであり,主人公Pierston がAvice 二世,Avice 三世に寄\nせる想いは,亡きAvice Caro そして彼女の精髄であるかつての島に寄せる想いなのである。 続きを見る
2.

論文

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大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  28  pp.113-120,  2008-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />英国の小説家・詩人Thomas Hardy の短編小説For Conscience’ Sake は,20年前に捨\nてた女性 を探し出し,彼女と結婚することで,過去の過ちを正そうとする男の物語である。こ\nの作品は題名にある〈良心〉の問題がテーマであると簡単に理解され,物語の筋立ても比較的\n単純であることから,従来あまり研究されてこなかった。しかし,丁寧に吟味してみると,こ\nの作品には良心の問題以外に,孤独,女性の自立,階級意識,〈農村〉対〈都会〉,更には遺伝\nなどのテーマやモチーフが巧みに織り込まれていることが分かる。その意味で,本作品は\nHardy の長編小説の要素が凝縮されていると言って良く,Hardy の長編小説を理解する上でも,\n本作品の理解は非常に有益であると言えよう。また,主人公のMillborne が最後に達する諦観\nの境地は,作者自身の心情を反映したものでもあろう。 続きを見る
3.

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大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  27  pp.101-108,  2007-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />イギリスの小説家・詩人Thomas Hardyが小説家としての円熟期に書いた短編小説A\nTragedy of Two Ambiti onsは,独学で聖職者への道をめざすHalborough兄弟の苦闘と失意の\n物語である。Hardyは,立身出世欲のために,溺れる父親を見殺しにするHalborough兄弟の自\n己中心的な生き方を通して,野心を抱くことに付随する問題を浮き彫りにしながら,当時のキ\nリスト教と聖職者の偽善性を糾弾している。Halborough兄弟の半生には,人が抱く願望とそ\nの実現を阻もうとする厳しい現実という問題が重ね合わされていて,本作品は特定の時代と場\n所を超えた人生の不条理を描いた作品として普遍的な広がりを持っている。また,父親の死を\n深刻に受け止めているHalborough兄弟が,試練を乗り越え,人間的に成長することにより,\n彼等が寛容で慈愛に満ちた真の聖職者になる可能性があることから, 本作品には\nBildungsromanとしての側面もあるように思われる。 続きを見る
4.

論文

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大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  26  pp.125-132,  2006-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />Thomas Hardyが小説家としての円熟期に書いた短編小説The Son's Vetoは,村の牧師Twycott氏と結婚した田舎 娘Sophyの悲劇的な人生を描いた作品であり,中心テーマは階級(意識)である。Sophyの結婚は彼女自身の階級意識によって規定され,Twycott氏の死後,彼女の人生は息子のRandolphの階級意識によって支配される。Randolphは階級意識が強く,自分の出世しか念頭にない偏狭な人間である。Hardyは彼の人物像を過不足なく描き,彼を非難することで,このような人間性に欠けるエリートを育てるパブリックスクールや大学の教育を糾弾している。また,The Son's Vetoには,階級の問題と絡み合う形で,農村と都会の対立というテーマが織り込まれていて,Sophyとその息子との対立は農村と都会との対立であるとも理解できる。Hardyの長編小説では,主人公が外の社会に出て行くことにより,階級という障壁にぶつかり,希望をくじかれるというパターンが一般的である。しかし,The Son's Vetoでは階級の壁が家族の中にまで侵入しているのが特徴で,階級の問題がより深刻化していることを示すものであり,Hardyの危機感の現れと思われる。 続きを見る
5.

論文

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大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  25  pp.139-148,  2005-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />英国の小説家・詩人Thomas Hardyの短編小説The Melancholy Hussar of the German Legi onはナポレオン戦争時代を背景に,イングランド南部丘陵地帯にやって来たドイツ騎兵部隊の一兵士とその地に住む娘との悲恋を描いた作品である。この作品は良く知られてはいるものの,ほとんど研究されておらず,単なるメロドラマに過ぎないといった低い評価を受けたりもしてきた。しかし,丁寧に読んでみると,この作品にはHardyがよく取り上げている人間の孤独,女性と結婚,愛と義務,更には上流階級批判といった重要な要素が巧みに織り込まれていて, Hardyの文学を理解する上で見落とせない作品となっている。また全体としては,女主人公Phyllisに共感する語り手によって語られる物語にノスタルジックな雰囲気が漂い,読後の余韻も深く,読者に忘れがたい印象を残す作品に仕上がっている。本作品は,小説家として円熟期にあったHardyの力量を随所に感じさせる優れた作品であると言って良いだろう。 続きを見る
6.

論文

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大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  24  pp.103-110,  2004-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />トマス・ハーディの短編小説To Please His Wifeは, 野心のために夫と二人の息子を失った女性ジョアンナの半生を描いた作 品である。ハーディの短編小説は長編小説に比べ, 過小評価されてきた嫌いがあり, To Please His Wifeもまたその例に漏れず, 因果応報, 自業自得の単純な物語として片付けられがちである。しかしながら, 小説家ハーディの円熟期に書かれたこの作品はその簡潔なペーソスあふれる筋立ての中に, 結婚, 階級(意識), 野心, 教育, 出世といった同時期に書かれた長編小説に共通するテーマが織り込まれていて, ハーディ文学を理解する上で見落とせない作品となっている。ハーディはまた, 主人公のジョアンナを野心のために身を滅ぼした一人の愚かな女性から〈船乗りの妻〉という普遍的な悲劇のヒロインへと高めることにより, To Please His Wifeを時空を超えた感動的な悲劇的作品にしている。 続きを見る
7.

論文

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大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  18  pp.29-35,  1998-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />ロイ・モレルはFar from the Madding Crowdの主人公Gabriel Oakの生き方を例に挙げて,幾多の苦難を乗 り越えて人生の勝利者となるOakこそハーディが称揚する人物像であるとし,夢想家や夢想的な生き方をハーディは非難しているのだと論じている。モレルの立場はハーディの小説の悲劇性を登場人物たちの非現実的で夢想的な生き方に求めるもので,宿命論に立脚した従来のハーディ観を打破するという点で高く評価されるべきだが,ハーディの小説を単なる人生訓,処世訓のレベルで捉えている点に不満が残るし,ハーディがその後Oakのような人物ではなく,むしろ自己破滅型の夢想家を執拗に描き続けた理由を明らかにはしない。ハーディの小説,とりわけ後期の小説に登場する主人公たちの多くは芸術家ないしは芸術家肌の人物であるが,夢想性は彼らの生来の気質であって,それはしばしば人を破滅に導くものの,彼らにとっては創造力の源泉であり,彼らの存在そのものの基盤であると言ってよい。また彼らにとって,理想の恋人像が生身の人間よりも現実的であるのと同じように,想像の世界のほうが実際の世界よりも一層現実的なのである。従って,芸術家ないしは同様の気質を備えた人物が実社会で生きてゆくことそれ自体が多くの矛盾をはらみ,必然的に悲劇が生じることになる。厳しい現実の中で幸福を獲得するOakを称える一方で,自分自身苦悩の人生を歩んだハーディは,虚しく夢を追い求め破滅してゆく人々を,大いなる共感を持って描き続けざるを得なかったのである。 続きを見る
8.

論文

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竹澤, 泰子 ; 大桃, 道幸
出版情報: 群馬大学医療技術短期大学部紀要.  15  pp.11-18,  1995-03-31.  群馬大学医療技術短期大学部
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />This paper attempts to analize 38 essays, composed by college students. The objective lies in the investigation of specific usage patterns of verbs, nouns, adjectives, adverbs and conjunction within these essays. We compare and contrast the word contents of the sample essays with the Basic English 850 words list, provided by C. Ogden. Throughout the observations, commonly used words were found to be quite similar to the Ogden Word List. Similarly, frequent usage of simple idioms, routin esentences and stereotype expressions were observed. Furthermore, the intermixture within an essay of both colloquial and literary English terms were articulate. The student's inability to distinguish between the two seemed to create such inadequecies in their writing skills. This can be assumed as a result of the ambiguities of standards which rooted within the English teaching methodology in Japan. 続きを見る