1.

論文

論文
大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  25  pp.139-148,  2005-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />英国の小説家・詩人Thomas Hardyの短編小説The Melancholy Hussar of the German Legi onはナポレオン戦争時代を背景に,イングランド南部丘陵地帯にやって来たドイツ騎兵部隊の一兵士とその地に住む娘との悲恋を描いた作品である。この作品は良く知られてはいるものの,ほとんど研究されておらず,単なるメロドラマに過ぎないといった低い評価を受けたりもしてきた。しかし,丁寧に読んでみると,この作品にはHardyがよく取り上げている人間の孤独,女性と結婚,愛と義務,更には上流階級批判といった重要な要素が巧みに織り込まれていて, Hardyの文学を理解する上で見落とせない作品となっている。また全体としては,女主人公Phyllisに共感する語り手によって語られる物語にノスタルジックな雰囲気が漂い,読後の余韻も深く,読者に忘れがたい印象を残す作品に仕上がっている。本作品は,小説家として円熟期にあったHardyの力量を随所に感じさせる優れた作品であると言って良いだろう。 続きを見る
2.

論文

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大桃, 道幸
出版情報: 群馬保健学紀要.  24  pp.103-110,  2004-03.  群馬大学医学部保健学科
概要: application/pdf<br />Departmental Bulletin Paper<br />トマス・ハーディの短編小説To Please His Wifeは, 野心のために夫と二人の息子を失った女性ジョアンナの半生を描いた作 品である。ハーディの短編小説は長編小説に比べ, 過小評価されてきた嫌いがあり, To Please His Wifeもまたその例に漏れず, 因果応報, 自業自得の単純な物語として片付けられがちである。しかしながら, 小説家ハーディの円熟期に書かれたこの作品はその簡潔なペーソスあふれる筋立ての中に, 結婚, 階級(意識), 野心, 教育, 出世といった同時期に書かれた長編小説に共通するテーマが織り込まれていて, ハーディ文学を理解する上で見落とせない作品となっている。ハーディはまた, 主人公のジョアンナを野心のために身を滅ぼした一人の愚かな女性から〈船乗りの妻〉という普遍的な悲劇のヒロインへと高めることにより, To Please His Wifeを時空を超えた感動的な悲劇的作品にしている。 続きを見る